第4章: 生成AI時代の情報リテラシー・権利・法律
1. 生成AI時代の新たな脅威と情報リテラシー
詐欺の手口とAIによる高度化
- フィッシング詐欺: AIにより、公式と見分けのつかない偽サイトや、不自然さのない詐欺メールが作成可能に。
- 悪意のあるQRコード: 物理的に本物のQRコードの上に偽物を貼り、悪意あるサイトへ誘導。
- Wi-Fiの罠: 偽のフリーWi-Fiスポット(野良Wi-Fi)。対策は「自動接続オフ」。
- ソーシャルエンジニアリング: 人間の心理(恐怖、好奇心など)を突いて情報を盗む(スピアフィッシング、オレオレ詐欺の声模倣など)。
2. 個人情報保護の観点
主な定義
- 個人情報: 氏名、顔写真など個人を特定できる情報。
- 要配慮個人情報: 人種、病歴、犯罪歴など。原則取得には本人の同意が必要。
- 匿名加工情報: 個人を特定できないように加工した情報。
AI利用時の注意
- プロンプトに個人情報を入力しない(学習データとして使われる可能性があるため)。
- 学習に使われない設定(オプトアウト)を確認する。
3. 制作物に関わる権利・法律(知的財産権)
各権利とAIの関係
- 特許権 (技術的アイデア)
- AIが生成した発明に権利が発生するかは議論中。偶然他社の特許に抵触するリスクがあるため、クリアランス調査が重要。
- 商標権 (ブランドロゴ等)
- 既存の商標に類似したロゴをAIで生成・使用すると侵害になる。
- 意匠権 (デザイン)
- 物品の形状など。これも既存のデザインとの類似に注意。
- 著作権 (文章、画像、音楽等)
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- AI生成物の著作物性: 「創作的寄与」があれば認められる可能性があるが、単に指示を出しただけでは認められない(パブリックドメイン扱い)。
- 侵害リスク: 「類似性」と「依拠性(元の作品を知っていたか)」が要件。AI学習データの元ネタに似てしまうリスクがある。
- 肖像権・パブリシティ権
- ディープフェイクや、有名人の顔・声を無断利用することは権利侵害の恐れが高い。
- 不正競争防止法 (営業秘密)
- 自社の営業秘密をAIに入力して漏洩した場合、法的保護(秘密管理性)を失うリスクがある。
4. AIを取り巻く理念とガイドライン
AI事業者ガイドライン
経済産業省・総務省によるガイドライン。「人間中心のAI社会原則」をベースにしています。
3つの基本理念
- 人間の尊厳 (Dignity): 人間がAIを道具として使いこなす。
- 多様性と包摂 (Diversity & Inclusion): 多様な人々が幸せを追求できる。
- 持続可能性 (Sustainability): 格差解消や環境問題への対応。
共通の指針(主なもの)
- 人間中心、安全性、公平性(バイアス対策)。
- プライバシー保護、セキュリティ確保。
- 透明性、アカウンタビリティ(説明責任)。
AIに関わる3つの主体
- AI開発者: モデルを構築・提供する。
- AI提供者: システムを製品として利用者に提供する。
- AI利用者: ビジネス等でAIを活用する(私たち)。